2010年12月26日日曜日

Dia de Navidad (Xmas day )





         午後2時:教会にて



            午後2時半:バス停近辺にて 




午後3時すぎ:帰りのバスの中より




午後4時:隣のマリオとその従姉妹




 
                 
  午後5時:イスラムヘーレスにて







午後6時:市役所前にて

メリークリスマス!


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2010年12月23日木曜日

¡Feliz Navidad!






今年も遂にこの日が訪れました。

今日はクリスマスイブ。
そして一年中で一番平和と愛にあふれた日。



今年も、一年間無事に過ごせたこと、皆さんの心とこうして繋がっていられたこと。
心から感謝しています。


本来ならば、一人一人に直接会って、近況報告などしたいところですが、そうもいかないのが本当に残念です。

そこで、代わりにといっては何ですが、私から皆さんへ、クリスマスプレゼント。

カンクン日本語学校・少女合唱隊が送ります。

皆さんもご一緒にどうぞ!









メリークリスマース!!


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2010年12月18日土曜日

グレイキャット物語・最終回

                                                  La bebe (Tulum)




翌朝、日の出とともに起きた私は、再び階下に降り立った。 

異臭は昨日に輪をかけて酷くなっており、キャリーケースの中を覘くと、昨夜あげたはずの水は、今日は殆ど減ってない。ストレスが極地に達しているのかもしれない。 

天気が良くなることを願っていたのに、空には暗雲が立ち込めて、日中も気温が上がることは期待出来そうにない。 

そこで私は、鍋という鍋にお湯を沸かし、倉庫から見つけてきたキャリーの底が入る大きさのプラスチックケースと洗面器、たらい、猫用シャンプー、罠付きの檻とたくさんのボロタオル、そして仕上げのドライヤーをセッティングした上で、まずはたらいにシャンプー入りぬるま湯を用意する。 

そう、今日、グレイキャットを放す前に、私は彼をお風呂に入れようと決めたのである。 

まぁ、捕まえられたことは災難だったかもしれないけれど、彼とて人(?)の子。一生に一度くらい、綺麗にして、鈴をつけてあげる人がいたっていいじゃないの。 

一日疑似家猫体験というやつである。 


さて、いよいよプラスチックケースを底に敷いた上に、キャリーを置いた私は、軍艦マーチと共に作業を開始した。 


”パンパカパーン!それではこれから、お風呂の儀式を行います。用意はいいですか〜?” 


そして、キャリーを少しだけ斜めに傾け、穴の開いた透き間から、お湯を掛ける。 
まるでお婆ちゃんの背中を流すかのように、そ〜っと。 

私は、それまではおとなしていたグレイキャットが、お湯を掛けられたことに興奮し、キャリーケースを突き破って、外に飛び出しでもしはしないかと、内心ドキドキしていた。 

ところが、驚くなかれ、彼は身動きもせず、じっとそこに留まったままでいた。 

私はその様子に驚きつつも、彼に励ましを送る。 



”は〜い、お湯加減は如何ですか〜?これで綺麗になりますからね〜。臭い匂いも取れて、さっぱりするよぉ〜。” 



それがどこまで伝わったかどうかは不明だが、彼は依然としてそこに留まったままでいて、なんとなく、気持ち良さげにさえ見えるのは目の錯覚? 

そして、お湯を何倍も豊富に使ってシャンプーすること、約20分。 
次はいよいよ、体を乾かす場面だ。 

キャリーケースに入れたままでいれば、中に湿気がこもり、濡れたままで風邪を引いてしまうのは目に見えている。 

そこで、すすぎが終わると同時に、キャリーケースのドアと檻の蓋を隣接させた形で、同時にえいっと扉を開けると、なんと奇跡的に彼が、するっと檻に移動した。 

やった、うまくいった! 

ここまで来ればあとは簡単である。 

まずは後ろの蓋から乾いたバスタオルを入れて、ドライヤーを向け、彼が方向を変えた瞬間に、今度はもう一つの蓋から別のバスタオルを差し込む。 

そしてその上に彼が座ってしまえば、あとはトリマー宜しく、丹念にドライヤーで毛を乾かすだけだ。 

よしよし、これで少しはこざっぱりして、気分も良くなることでしょう。 

そしてドライヤーを掛け終わること、30分。 

今度は、綺麗になった彼をそこに置いたまま、大速攻でペットショップに出掛け、例のバックル式首輪と予備用の鈴を購入する。 

と、戻りがしらに、隣人ペドロ登場。 


”Kyoko、おはよう。” 

”あ、ペドロ!丁度いいところで会ったわ。ちょっとちょっと、あのさ、例のグレイキャットを捕まえたのよ。” 

”え?グレイキャット?” 

”ほらぁ〜、うちの彼がものすごく嫌ってたあの猫よ!” 

”あぁ〜。で、その猫がどうしたの?” 

”だぁからぁ〜、その猫を捕まえた訳よ!罠を仕掛けたの。ちょっとこっち来て、見てくれる?” 


普段は、人のうちのものなどくすねて、こっそり持って帰ったりするような管理人なので、あまり家の中には入れないようにしているのだが、今回はそんなことなど言っておられない。 

なので、彼を急ぎ手招きし、カウンターの上に置いたの檻の中を見せた。 

一瞬、その大きさにびびって後すざりするペドロ。 

しかし、私とて、ここで怯む訳には行かない。 
なので、どこそこの展示会場で、商品を押し売りする悪徳セールスマンのごとく、声も高々に言ってのける。 



”あのね、今首輪を買ってきて、これからそれを削るので、終わったら、彼に首輪を掛けるの、手伝って欲しいの。” 

”えっ!?” 

”私が首輪を付けるので、この猫の首のところを、ちょっと押さえてて欲しいわけ。” 

”そ、それは・・” 

”大丈夫大丈夫!首をぐっと掴めば身動き出来ないから!” 

本当は私も恐怖で一杯なのである。 

でも、ここで彼を逃したら、一人で格闘しなければならないのは分かっているので、無理矢理彼にその役を押し付けることにしたのだ。 

ところが、今はぼんやりして、ウダツが上がらない男だが、嘘か本当か、元はと言えば、メキシコシティでやり手の株ディーラーだったというペドロ。 

私の攻めにも掛かる事なく、穏やかにこう言った。 


”いやぁ、この猫は大きいし、凶暴で引っ掻かれたりすると危ないから、やっぱり病院に連れて行って、プロの人にやってもらったほうがいいよ。” 

実は全くの同感である。 

重い檻を担いで病院まで行くのが面倒くさかったので、どさくさに紛れてやってもらおう、と思ったのだが、やはりここはアドバイスに従うことにするか。 


そして、彼が去った後、首輪をヤスリで擦ること約15分。 

慎重にテストをしつつ、あと、もう少し・・もう少し・・と削っていたバックルは、寸でのところで、最後にぽきっと折れてしまった。 


くぅぅぅ〜!もう一つ予備を買っておくべきだった!! 


しかし、改めて買い物にいくには遅すぎで、すでに太陽は西に大きく傾いている。 
しかもこちらが、じりじりと額に汗滲ませて作業をする間、肝心のグレイキャットは、すっかり、そこに居るのが普通になったかのように丸くなり、うとうとと昼寝など始めたではないか。 

・・と、なんだか自分のやっていることが、急にバカバカしく思えてきた。 



別にいいじゃないか、また入ってきたって! 


彼だって、うちの猫と同じ、ただの猫なんだもの。多めに見てやろうよ。 

そう思った瞬間に、急に肩の力が抜けた。 


そして、数日間の軟禁(?)を経て、遂に檻を持って外に出ること、わずか数歩。 


蓋をそーっとずらして、後ろから様子を伺っていると、しばらく、そこに留まっていたグレイキャットは、静かに立ち上がってゆっくりと外に出て、大きく伸びをしたかと思うと、まるで何もなかったかのように、階段をトコトコと降りて行った。 


ちょうどミャオ子も、階段のへりのところでその様子を眺めていたので、彼女と共に道側のバルコニーからその姿を追うと、通りに出たグレーキャットは、いつもそうするように、まずは茂みで用を足し、それから、一軒一軒、隣家を出たり入ったりしていたが、数軒先の斜め向かいの家の脇の、夕日の射す庭を軽やかに横切って、やがては光の中に消えて行った。 





その日以来、彼の姿を見かけた者はいない。 



今まで通り、野良猫でいるもよし、はたまた猫風呂に味を占めて、どこかで家猫になるもよし、いずれにしても、彼が元気でやっていることをただただ祈るばかりである。 



(終わり)




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2010年12月15日水曜日

グレイキャット物語 Vol.5








さて、捕まえたまではよかったが、問題はこれからどうするかだ。

昨日彼が罠に掛かった後、例の愛護団体にはメールを打っておいた。
が、檻だけでも3キロはあるところに、大猫を入れた合計15キロを、愛護団体まで持ち運ぶのは些か荷が重すぎる。

ここは費用が掛かってしまうが、掛かり付けの獣医さんに持って行くのがいいだろう。
翌日は学校のある日だったので、タクシーを止めてまずは、病院に一旦寄り、それから学校に寄ってもらうことにする。

”ブエノスディアス!えーっと、まずは○○通りの犬猫病院に寄って、それから△△通りの日本語学校までお願い。”

”オッケー!ところで、お客さん、偉くでかいけど、もしかしてそれ、ジャガー?”

そう、ここキンタナロー州には、絶滅寸前ながら、野生のジャガーが今でも生息しているのだ。

”いやいや、普通の猫。”

”えっ、普通の猫じゃないでしょう?もしかしたら、ジャガーの血でも半分混ざってるんじゃないの?!ははは。”

まんざら冗談にも聞こえないところが、恐ろしいところである。




さて、その日は病院に彼を預けた足で学校に向かい、授業が終わったあとは、また速攻で病院に舞い戻った。


っと、いたいた、手術を終えた大猫が!


しかし、何度見ても大きな猫である。

今は麻酔が利いているため、檻の中にだらりとその肢体を延ばして寝ている関係で、その姿が一層大きく映る。


”いやぁ、なかなか大変だったよ、この猫を押さえつけるのは。”と先生。

そこで、私は勇気を出してこう聞いてみた。


”先生、この猫、どうしよう?”

”え?どうしようって、麻酔がさめたら放してあげるんじゃないの?”

”・・でも、放してもまたうちに戻ってくるよね?”

”うーん、まぁそれはそうかも知れないけれど・・”

”もうね、戻ってきて欲しくないの。ねぇ、遠いところに連れて行ったら可哀想かな?”

”そうだねぇ・・”

”先生、この猫要らない?”


曖昧な笑みを浮かべたまま、診療室に戻っていく先生。


その会話を見守っていた、受付の男の子やトリマーのおばさんと目が合ったので、速攻で聞いてみた。


”ね、誰かこの猫要らない?”

さっと目を背けるスタッフ達。



そうだよなぁ、いくらなんでも、こんな大猫、要る訳ないよな〜。はぁあああ・・


仕方がないので、またタクシーを呼び、えっちらおっちら自宅に持ち帰る。

待ち構えていた家猫達は、案の定、麻酔が掛かって寝ているグレイキャットを不思議そうに見守っている。


”ま、今は麻酔もかかっている事だし、今日、明日くらいまではうちに置いとくとするか。”



その晩、彼をどうするか、私は一人案を練った。

一番良いと思えたのは、ここのすぐ近くにある、イスラムヘーレス島に、彼を連れて行って放すことだ。

ムヘーレスは、こじんまりとした小さな島で、カンクンのような喧噪もなければ交通量もない。
人々も動物達ものんびりとして、彼が第二の人生を過ごすにはいいんじゃないだろうか?

しかしこの話を電話口で相棒に話し、愛猫家の関係者に意見を聞いてもらったところ、私の案は見事に却下された。

”う〜ん、猫はテリトリーの動物だからな。全く知らない場所に連れて行くなんて、彼を困惑させ、死に追いつめるようなものだよ。君、覚えてるだろう?メギを拾った日のことを・・。”


確かにメギは、普通、こんなところに居ないだろう、というような場所で泣いていた。
後で考えれば、誰かにその場所に捨てられたのではないかと思うのだが、何しろ体中をノミに刺され、片目は完全に潰れた状態で、茂みの中で泣いていたのだ。


・・・い、いかん!そんな殺生なこと。一寸の虫にも五分の魂というではないか。


再び階下に降りてみると、麻酔が切れたのか、呆然とした状態でグレイキャットが宙を眺めている。

突如、申し訳ない気持ちが胸を過った。

いくら、迷惑だからと言って、人間の都合に合わせて、動物に痛い思いをさせるなんて、考えてみたら酷いことだよな・・。



そこで彼に声をかけてみる。

”おい、お前大丈夫か?明日になったら放してやるからな。それまでゆっくり休みなさいよ!”


かくして第一の案は却下され、その日は就寝。
翌日起きてみると、彼は幾分復活したのか、今度は普通に座って黙ってこちらを見ている。


・・とキャリーケースの中に用を足してしまっている。


”うわぁ〜、やっぱり檻にいれてもらえばよかった。まぁ、いいか。夕方には放してやるんだし。”


それで取りあえずは水を入れた容器を箱の中に入れてやる事にする。


もし引っ掻かれたらどうしよう、と心配もしたが、まだ麻酔が完璧に切れてないらしく、特段抵抗は見せず、水とえさを入れる事に成功したので、安心してその日、用事のあったTulumまでバスで向かう。


しかし道中も、頭の中は彼をどうするかで頭が一杯で、色々と考えては見るものの、良い考えが一向に浮かばない。


そして一日あれこれ考えて、家に帰るバスの道中にて、私はとうとう、これだ!という名案を思いついた。


それは、”彼の首に鈴を付ける”というシンプルなもの。


遅かれ少なかれ、彼は必ずこの家に戻ってくる。

いくら去勢したからと言ったって、常に4匹分の餌が常備してある、元テリトリーに戻らない訳はないだろう。

しかし、彼が戻ってきた時に、もし鈴の音が聞こえれば、私も、家猫達も心の準備が出来るというものだ。

もし、どうしても腹が減ったというのであれば、私が外に出て少し食べるものを分けてあげても良い訳だし、猫達にしたって、もし彼に家に入ってきて欲しくなければ、外から唸るなど、アピールすれば良い訳である。

先生に寄れば、2週間が経過すれば、万が一家の中に入ってきても、もうマーキングはしないわけで、こうして、我々もハッピー、グレイキャットもハッピー、みんながニコニコ顔で暮らせるではないか!



私は自分の天才的な思い付きに、胸が高鳴るのを押さえきれないまま、再び相棒に電話する。


”あ、もしもしっ?ちょっとちょっと、名案名案!・・・え?撮影中で今話せない・・?・・・じゃあいいわよ、もうっ!”

全く何の役にも立たない男である。

しかし、ここで腹を立ててはいけない。
レイと、ついこの間話したばかりではないか。人の素行に気を取られてはいけないのである。大切なのは自分の心の内側。



よ〜し、ここは楽しい場面でも想像して・・。


まずは深呼吸をして、頭の中に花畑を思い浮かべてみる。

あ、あそこで遊ぶのはミャオちゃんとハヤブサくんだ。
そして、向こうの木の上ではクロちゃんがのんびりと昼寝をし、メギは懐に入って、私と一緒に散歩を楽しんでいる。

と、そこへ通り掛かったのは、見覚えのある猫。

おっと、あそこに見えるはグレイキャットではないか。いつの間にか綺麗に身繕いして、おまけに空色の首輪まで付け、胸からはチリンチリンと可愛い音まで聞こえてくる。


みんな仲良く遊んでいるよ。あぁ、よかったよかった。


・・と、そこへ携帯電話が鳴り、楽しい瞑想(妄想)タイムから現実に引き戻される。
電話の主は再び相棒であった。


”もしもし。え?仕事が終わった?・・でも、もうこちらの予定は決まったから、あなたの意見は結構です。・・・え?首輪は危ないからしちゃいけない?誰がそんなこと言ったのよ!”


彼が言うには、首輪というのは、外に出ない家猫には良いが、外をうろつき回る猫に取っては、どこかに引っ掛かる可能性も高く、それが原因で窒息死するケースも多々あって、決してお薦めできる代物ではないらしい。


”そんな文句ばっかり言ってねぇ、あなた、じゃあ一体、あの猫に何をしたっていうのよ!
困っているのは、私や猫達なのよ。
それにあの猫だって可哀想じゃないの。勝手に捕まえられていたい思いをさせられて。
少しは真剣に何か考えてくれたらどうだっていってるのよ、もうこちらで勝手にするから、結構です!”


(ブチッ)


せっかくの楽しい計画は吹っ飛び、重い足取りで家に戻ると、キャリーの中の水は全てなくなり、少し不安そうなグレイキャットがこちらをじっと眺めている。そしてキャリーからは、朝にも増して、強烈な匂いが立ち込めて・・そう、またしてもキャリーケースの中で、用を足してしまっていたのだ。

彼はもう手術前のように、こちらを見て唸ったり、鋭い目で睨んだりはしない。
もしかしたら、彼なりに何か覚悟でも決めてるのかもしれない・・そう思ったら、なんだか無性に悲しくなってきた。



そこで、新たに餌と水をあげ、困った時の神頼みをしてみることにした。
こういう時、インターネットという代物は、非常に効果的なツールなのだ。
絶対絶対絶対何かのヒントが見つかるはず!


そして、探すこと小一時間、遂にこんなサイトを発見した。
http://blog.goo.ne.jp/sauta19/e/39c3a61b99cc1cfc6f55a135a790c91d

そうか、バックル式の首輪にして、留め口のところをヤスリで擦れば、どこかに引っ掛かっても、簡単に取れて、彼らの身も守られるのだ。

私は再び想像してみた。

彼が綺麗に身繕いして、首輪をはめ、可愛い音を立てながら去って行く様子・・

うん、なんとか行けそうだ。明日は朝一で起きて、なるべく早くに放してやろう。

その夜は興奮してなんだか良く寝付けなかった。


(続く)






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