2016年11月3日木曜日

Time・Tiempo・時

 
 
およそ2年半以上もの間、ブログをお休み状態にして放浪していましたが、何となく、一周した感じがするので、ここに戻ることにします。
   
 
世の中には素敵なブログがたくさんあって、そのどれもが、決まって美しい写真を載せているのが羨ましくて、自分も素敵な写真を撮れる
ようになったらいいな、と試行錯誤して来ましたが、少しは成長したのやら?
  
 
スペイン語に写真に文章に音楽に、どれを取っても、すべてが発展途上の過程で、果たして生きている間に、どれか、一つでも形になるものは
あるのかどうか、自分でも疑問ではありますが、凡人なりに、少しずつマイペースで進んで行けたらと思ってます。
  
 
今後ともどうぞよろしくお願いします!
 
  


 

 

 

2014年5月15日木曜日

ほんとうに大切なことは







今年の冬、出稼ぎで行った、スキーリゾート地での日々は、惨敗だった。



一見豪華に見えはするものの、欠陥だらけのコンドミニアム。

出鱈目なビジネスに、出鱈目な人々。不正、不払い、自国で受ける、まさかの人種差別。



これが、世界に名を轟かす、日本が誇るスキーリゾート地か?と、落胆するのと同時に、

人の欲がむき出しになると、美しいはずの場所さえ、淀んで見えてくるのが物悲しかった。



空回り、そしてどこにも行かない状況に、ある時見切りを付け、途中で残念ではあるけれど、

降板するにした。


それイコール、住処もなくなるので、その地を去らなければならない、という意味なのだけど。

(土地高騰で、住居費が高い為、労働者は季節中、狭い所に何人も押込められて過ごしている。)



”たまたま立ち位置が悪くて、その印象だけで、この場所が嫌いになってしまうことが、残念なんです

よね。”と、ご縁があって、会って間もない女性に、そう漏らした。



”本当はもう少し、この場所を見てみたい気持ちもあるのだけれど。”



彼女はその時、黙って私の言葉に耳を傾けていたけれど、その翌日から、おびただしい数の情報が、

私のメールに届けられるようになった。


「この人に会ってみたらいい。」「こんな方法がある。」「こんな仕事がある。」


言葉は少なく、でも辛抱強く、彼女は、私を支えてくれた。


そして気がついた。


彼女は、私がそこで出会った、初めてのローカル(地元の人)であることを。




ゲレンデの一面に続く小さな場所では、各国各地から人が集まって、皆、我が物顔でそこに居たけれど、
果たしてそれは、
広がる大地の、ほんの一角のミクロ世界の事であり、その渦中に居た私は、自分の立ち位置さえ、分かっているようで、
実は何も見えていなかったのだということが、彼女の運転で、ローカルの人達の住む、郊外の静かな一角を訪れた時に、
初めてわかった。



いつもは、夜でも赤々と照らされるナイターの明かりが、しんと静まり返った冷たい空気の向こうに、

遠くちらちらと見え、それは、まるでおとぎ話の物語のように、美しく儚い光を放っていた。


自分の存在がちっぽけに思え、それまで苦痛に思っていた事が、どうでも良い事なのだということを、

その時、初めて身に染みて実感した。





今、振り返ってみて、脳裏に浮かぶのは、美しく、静かな思い出だけだ。


バスや電車の中から見た美しい雪景色。


一人コツコツと廃材を使って建てられた、優しいぬくもりの家。


温かい暖炉と猫。


手作りのパン。


駅の雪掻きをするおじさん達。


休みの日に通った絵本カフェと、そこのおばさんの家族の話。



あの時、苦手に思っていた人達は、もう誰も、そこには残ってはいないだろう。



残るのは、人間達のすることを、何一つ文句を言わず、黙って見守る、北海道の雄大な自然。



そして、冬も春も夏も、いつも変わらず、そこに居る、心優しきローカルの人達だけだ。






https://www.flickr.com/photos/shanti_shanti/



http://ameblo.jp/karip-niseko/entry-11850264977.html


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2014年2月26日水曜日

変革期




                                                                      Shiretoko, Hokkaido Feb 2014 






セヴァン・スズキの講演会に行ってきました。


講演内容で、心に残ったことを抜粋して書きます。




※はじめに


1992年のスピーチ以来、色んな場所で、繰り返しスピーチをして来たけれど、

世の中は何も変わってない。


昨今、エネルギー資源会社を初め、政府を左右する程に力を持つ企業が増えていて、


世の中のリーダーと言われる人々も年々力を失っている。


そして一番恐いのは、昨今、誰もそのことに驚かないという事実です。




※大企業はますます大きくなり続け、社会に、そして政府に影響を与える



例を挙げればウォルマート(スーパー)


http://ja.wikipedia.org/wiki/ウォルマート


政府は企業と密接なつながりを持ち、多大な影響を受けている。


私達は、政府のあり方に目が行きがちだけど、もし


企業>政府


という図式が成り立つならば、問題は、政府の在り方だけには留まらなくなる。



全米で毎週1億人以上。世界全体では毎年72億人が買い物をするというのです。そのウォルマートがメーカーに
対して値下げ圧力を行使すれば、目先の利益に目がくらんで、メーカーはそれを飲みます。ですが、ウォルマー
トの要求は際限無く続き、毎年のように前年比でさらなる値引きを要求してきます。最終的にはメーカーは疲弊
しきって、多くの企業が自ら脱落するか、あるいはウォルマートから切り捨てられ、結局どちらの場合でも大ダ
メージをうけます。(インターネットより抜粋)



※福島は安全?


20ミリシーベルトは人体に影響ないという政府の報道だったけど、妊婦が、避けるようにと言われているレントゲンより

断然多くの放射能を、どうして安全だと言いきったのか?


それは、ひとえに大衆のパニックを恐れることから来たのだと私は思う。

それほどに、私達は脳がないと考えているのか?


もしそうだとしたら、これほど非民主主義的、抑圧的な行為が有り得るでしょうか?


政府は充てにならない、どの国でもきっと。


彼らは、自国の将来を支える子供達のことを、まるで気にかけていない。


これ以上の深刻さが有り得えますか?


国家の倫理では、個人は守られない。


そして伝え続けないと忘れられ、情報は塗り替えられます。




※二元論で物事を語らない。


世の中は矛盾だらけ。その中で皆、辻褄を合わせながら生きている。


だから、被害者か加害者、という二元論的な区分けに捕われる必要は全くない。


誰でも、色んな立場から自由に発言する権利があり、またその中で、新しい案が生まれて来るのだから。


私に意見を言う資格はない、なんて言わず、どんどん発言しよう。



※文化も関係ない


日本は、ものを言いにくい風潮だから、とか、はっきりものを言わない(グレーゾーンが多い)民族だから、などと言う話をよく耳にする。


でも、それはカナダ(彼女はカナダ人)も同じこと。発言をしないということ、そのものが問題で、というのも、


「我々が、問題の一部」なのだから。




※私達に何が出来るのか


Love is the movement (愛とは行動すること)


まずは、自分と向き合いあおう。


目を反らす事をやめよう。


抑圧、不正に対し、burn out(燃え尽き)、ビジョンを失ってしまった人々がたくさんいるけれど、でも愛の力を見くびっちゃいけない。


愛と希望があれば、人はなんでも乗り越えられる。


ネルソン・マンデラをご覧なさい。


奴隷解放運動を思い出して下さい。


そして、極端な状況の中では、自分の愛を基準に判断しよう。




※希望とは何か


状況が難しければ難しい程、希望を持つ事により、人は光を見いだす事が出来る。


自分自身を制限しないこと。


自らにチャレンジすること。


希望と愛は、人間に取って本質的。


愛の力の強さ(Power of love)を、本当はみんな良く知っている。



20年前の、あのスピーチを、人々は、未だに大切にしてくれている。


それは、人に、神聖な責任感があり、未来を愛する気持ちがあるから。


どうして、今日皆さんが、ここにいるのか?


それは、皆さんの中の純真さが何かを感じているから。


私達は、親に愛されて育った子供であり、また我が子を愛する親であり、その次元では、


所属する組織とか肩書きえ、存在しないのです。





※コミュニティの果たす役割


「コミュニティ」の意味合いが、昨今変わっている。


コミュニティとは、地域社会のことだけではない。


同じ意識を持つ者達で、いくらでもコミュニティは作って行く事ができる。


もし何かをしたいと思うなら、「100万人の母」のコミュニティに加わっては如何でしょう。


https://www.facebook.com/100mothers



意見を出そう。出来る事を提案しよう。


時代は、政治力を失ってはいるけれど、草の根の新しい力、変革の波が、確実に、世界中

で起きている。

インターネットという新しいツールを通じて、小さな和が広がっている。


個人個人が繋がる事で可能性が広がります。


そして、その一つ一つが答えです。


(来日中、彼女が訪れ、感銘を受けたコミュニティ)


http://www.csr-com.jp/introduce/socialwelfare/post_18.html


http://doraku.asahi.com/hito/runner2/111115.html


http://doppo.jpn.org/staff.html






※福島の子供達へのメッセージ


「福島の子供達にメッセージを!」と、昨日の講演後、突然カメラを向けられた。


とっさのことで、しかも講演後で非常に疲れてて、言葉が出来なかった。


「福島の子供達に、自分が何て言える?」


クタクタに疲れてたけど、その質問は、一晩私の脳裏を駆け巡った。


私は今、こう言いたい。


福島の子供達が、今どう思っているか、逆にそれを知りたい。


私が20年前にスピーチをして、それを誰かが撮り、広めてくれたように、


彼らに、何を思い、感じているか発表して欲しい。そのデータが手に入ったら、


私はそれを、今度は世界中に広める役割を果たしたい。



※We are living in the story in the world


考えて欲しい。私達は、歴史という名の物語の一部を、生きているのだということを。


人類がこの地球上に生まれ、進化し、科学的、経済発展を遂げ、世界大戦が始まり、


終わり、そして今原発が止まっている、3年間も。


これは、実はとってもすごい事実だということに、皆、気がついて欲しい。



そして、この物語に、どういう結末を付けて行くのか、それは私達に掛かっているということも。



皆んなで、素晴らしい物語を、これから作って行きましょう。



今日は来てくれて、本当にありがとう。






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2014年2月15日土曜日

ニセコ日記・その8[休日編]








相変わらず、ドタバタ劇の続くニセコ地方ですが、今日はお休み。



買い出しに出掛ける時間まで、前々から行きたいと思っていた、近所の絵本カフェを訪れ、


パラパラとめくって
いたら、こんな一節と再会しました。








         **








雨にも負けず


風にも負けず


雪にも 夏の暑さにも負けぬ


丈夫な体を持ち






欲はなく


決して怒らず


いつも静かに笑っている







1日に 玄米四合と


味噌と 少しの野菜を食べ






あらゆることを


自分を勘定に入れずに







よく見聞きし 分かり


そして忘れず






野原の  松野林の陰の


小さな 藁葺きの小屋に居て






東に 病気の子供あれば


行って看病し





西に 疲れた母あれば


行ってその稲の束を負い






南に死にそうな人あれば


行って 怖がらなくてもいいと言い






北に 喧嘩や訴訟があれば


つまらないから 辞めろといい







日照りの時は 涙を流し


寒さの夏は おろおろ歩き







みんなにでくのぼうと呼ばれ





褒められもせず


苦にもされず









そういうものに


私はなりたい










        **










人生って非条理なことばかりだけれど、


挫けることも多いけど、



ソウイウ コトヨネ。




明日から一週間、また頑張ろう!






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ニセコ日記・その7[スニーキー・shikky/後編]








悪夢は、まだまだ続いた。


仕事を受けながら、すっかり忘れて帰るshikky。


引き継がれた仕事を、放置してやらないshikky。


具合が悪くて早引きした翌日、同僚とスノボーに行くshikky


その翌日、”うたたねしちゃった”と、自宅で2時間半、昼休みを取った後、再びオフィスでランチを
取り直す

shikky。


3時間半経過後に、さすがに駄目出し(by me)され、ちょっぴり不機嫌なshikky。


その翌日も、半日で早引きのshikky。


翌晩、ドライバー2名にエスコートされ、ご機嫌ディナーを目撃されたshikky。




プライベートはさておき、彼女の落とした仕事や抜けた穴を、これまでいくつ、フォローしてきたことか・・






”ちょっと、いくらなんでも酷すぎるよねぇ〜。”



と、ため息をつくのは、別の同僚、元顔黒族・Tanuko。


具合が悪そうだったので、早引きするように薦めたのだが、ばったり翌晩、街中で彼女に出くわしたらしい。


“ふーん。”


彼女も、当人の前では何も言わない二重人格星人であることを知っているので、 私は敢えてそっけなく
対応する。


“いや、ここだけの話なんだけどね、こないだお客さん宛に届いたデリバリーを、オフィスに置いてたん
だけど・・”


“・・?”


“たまたま部屋に入ったら、彼女、中身を開けて食べてて。私、もうびっくりしちゃった〜。”


“え〜っ!?食べるって、お客の出前を勝手に開けて、中身を食べてたってことっ?!何食べてたの??

それって、寿司か何か!?”


“いや、サイドディッシュなんだけどね。でも、ちょっとねぇ〜。


呆れて、開いた口が塞がらない。なんという 狡賢さ!






ギャグだ・・これはギャグに違いない!!!






そういえば、私が初日に持って来て、オフィスに置いていた私物を、勝手に開け、中身のお菓子だけを平らげ、

あとの私物を放置されたことがあったっけ!


翌日怒った私が、彼女に詰問すると、


“この部屋に置いたものは、共有物と認められるのよ。”と涼しい顔で言ってのけたshikky。


さすが中華系、食べられるものだったら、人のものでも、男でも(失礼!)食べるのかっ!?




段々怒りで胸が悪くなって来たので、休憩を取る事にする。



ムカムカする気持ちを抑え、こういう時用に持ち歩いている、愛読書のバイブルを、お弁当と同時にガバッと
開く。


『人間関係は、わたしたちを幸福にする為にあるのではありません。それは、私達を、”目覚めさせる”為に

あるのです。』


あまりのタイムリーな一文に、思わず目が止まる。


『例え、相手が無意識的な振る舞いをしても、決めつけは禁物です

なぜなら、それは、無意識にふるまう相手を、相手の”本当の姿”と混同することですから。』



(中略)



『闇と闘うのではなく、闇を照らす光になりましょう。


幻に反応せずに、幻を見つつ、その奥にある真実を見抜くのです。


裁く人ではなく、観察する人になりましょう。』



おぉぉぉっ!!!




単純明快な私は、感情的になっていたことはすっかり忘れ、たまたま書類を取りに現れたTanukoを前に、

弁当を頬張りながら、レクチャーする。


“ちょっとあんた!いい?今私に、宇宙からメッセージが降りてきました。要はね、彼女にはいいところがある

訳だし、なんせまだ若いんだから、一方的に責めるのは辞めましょう。”


“まぁ、そうだけど〜・・。でも、いいところって、どんな?”


“え〜っと、え〜っと・・例えば、穏やかなところとかさ・・”


そう。感情を露にしない彼女は、こちらが気を使う反面、火の粉が向かって来ることは、まず有り得ない。

なんせアンニュイで通してるんだから。


そういや、私が数分遅れて、謝った時も、全く気にせず、“ノーウォーリーズ”なんて普通に言ってたっけ。


それに、私にはどうであれ、客前での対応は、正直素晴らしい。


あんな可愛い子ちゃんに親切にされたら、誰だって、悪い気持ちはしないだろう。


多少のやり忘れがあったところで、実は、大したことではないはずだ。

なんせ、相手はオージー。しかもバケーションときた。


それに・・・


あまり公言したくはないが、実はその昔、まだ娘だった頃に、若さにかこつけてチヤホヤされ、バイト先の

おばさんたちの反感を買っているのを知りつつ、図に乗っていた自分が居た記憶が、先の瞑想で、

よみがえってきたのだ。


もしかして、これって、ただ単に、自分にツケが回ってきたってこと?


つまり、れっきとしたカルマの法則?!?


首を振る私に、次なる記憶が頭をよぎる。


確かあれは20すぎの頃・・


当時バイトしていた、カナダの寿司屋で、ダスターに置かれたままの、手つかずの卵焼きの存在がどうしても

気になって、3回程行き来した挙げ句、一気に頬張った瞬間を板さんに見つかって、現行犯でとっちめられた

ことが、あったような、なかったような・・・



その昔読んだ本によれば、


「悪人になる勇気のない者が、善人に留まる」という。



ということは、小心者で中途半端な自分に比べ、Shikkyの方が、一枚上手ということか??



しばらく話を聞いていたTanukoは、わかったような、わからないような顔をして、言ってしまった。


ま、良い。所詮彼女も、若い娘の一人なんだから。



しかし、shikkyの、並外れた振る舞いの一つ一つ・・・



実はあれ、人の忍耐度をチェックする、ドッキリカメラなんじゃないの?と、内心疑い、ちょっと楽しむ自分も

いたりする。



迷える子羊と悪魔の戦いは、まだまだ・・続く。





追伸:shikkyって、どう発音するの?と、こっそりお思いの皆さん。

恐れる必要はありません。式部のシッキー、shikkyです。


黒髪ロングのうりざね顔に、薄い眉毛。


紫式部にそっくりなんだな、これが!



(ファンクラブ会員も同時募集中)


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2014年2月4日火曜日

ニセコ日記・その6[スニーキー・shikky]



                                                                                                Ainu Dance Feb. 2014




Shikkyは、 細く長い黒髪に、アンニュイな雰囲気を漂わす、中華系とベトナム系のハーフのオージー23才。


同じコンドで働く同僚だ。



顔が特別可愛い訳ではないが、若くてアンニュイな雰囲気が受けて、男性スタッフの間で人気沸騰中。


ハウスメートのハニーと同様、どこのパーティ会場にも顔を出し、人気を二分する、ライバル関係にある
という話を聞いた事がある。




さて、そのShikky。


プライベートではともかく、仕事場では随分な困ったちゃん。



まずは、出勤時間。


毎回遅れて来るのはお約束で、ドアを通過するのはだいたい5分すぎ。


それから着替えて、髪を整え、実際に現場に入るのはだいたい20分すぎ。


そんな彼女を見て、オーストラリア人マネージャーの まさお(日本名)は覚えたての日本語で愚痴を言う。

「かのじょは、まいにちちこく。こまりますねー。」



しかし、モナリザ的微笑を称えて現場に入る彼女を前に、ヤワなまさおが、文句を言えるはずがない。

「ハァイ、Shikky!ハウズゴーィン?昨日の雪はどうだった〜?」

二重人格なまさおの後ろ頭を、心の中では叩きながらも、大人な私は、まさおの背後に立ち、後ろから
睨むだけとする。




さ、仕事仕事!

Shikkyと入れ替わりにまさおがオフィスに戻ったので、気を引き締めて取りかかる。


仕事場では、整理整頓が基本。

まずは、 狭いフロント内を隅々まで、掃除機で掛けて回る。

その間、低血圧(に違いない)なShikkyは、お目覚めのティーと、お気に入りのポッキーを片手に、
メールに向かい、まったりタイム。

寝起きで不機嫌そうな彼女に、決して気軽に話しかけたりしてはいけない。

そっとしておいて、こちらは続いてモップがけ。


雪国のコンドミニアムは、靴底の雪で、 床が水浸しになりやすい。

特にロッカールームは、気を抜くと、すぐに湖状態となってしまうので、体育館を拭くなみの特大モップで、
腰をいれて取りかかるが、これが、ちょっとしたひと運動。




約20分間、地下の水たまりと格闘し、すっきり壮快となったフロアを後にフロントに戻れば、朝のお食事を

済ませた彼女は、貢ぎ物を手に訪問する若いドライバーと楽しく歓談中。


一瞬むっとするもスルーして、今度は引き継ぎノートをチェックする。



あるある!たくさんの引き継ぎが。昨晩もさぞがし忙しかったに違いない。



殴り書きのメモを一つ一つ解読しながら、いくつかの電話を掛け、ふと顔をあげると、今度は隣で、スマート

フォンを片手に、マイワールドなShikky。




若さとは、時として無知である。


いちいちムキになっていたのでは、やりきれない。



人は人と割り切って、メールと格闘する・・と、システムの使い方が分からないので、初めて声を掛けてみる。




“ね、ここの入力の仕方なんだけどさ。”



“マニュアルに書いてあるわよ。”(←目はスマホ)



“ってか、ここなんだけどさ・・”



“マニュアルに書いてあるわよ。英語、読めないの?” (←目はスマホ)



ムッキ〜ッ〜!!!




性悪女とは、こういう女のことを言うのである。




ほんの数年前だったら、間髪置かずに、タックルしていたであろうが、最近の私は、瞑想など齧って、

小さなことでは揺るがないのである。


はいはい、話しかけてもらいたくないのね。



面倒なことが嫌いであることは、すでに人伝に聞いているし、彼女が二日酔いであることも、先ほどの

ドライバーとの会話で学習済みだ。


それからしばらくは、沈黙の時が流れ、あわや、このまま休憩時間に差し掛かるかと思ったその瞬間・・




トゥルルル(電話音)




“グッモーニング xxコンドミニアム。ディス イズ Shikky スピーキング。ハゥメィアィヘルプユゥ?”


まるで小鳥のように、爽やかな声で電話を取るshikky。



感じが良いなんてものじゃない。



電話が終わると、続いて、オーストラリア人軍団登場。


“ハローィ、ミスター△△。ハゥアゥユゥ?”



またしてもにっこりと笑みを浮かべるShikky。



さっき、まさおに浮かべた微笑みの、10倍ボーナスサービス版ときた!




すっかりご機嫌で去って行く、赤ら顔の白人軍団。


そう。この職場は、二重人格揃いな、悪魔の集団なのであった・・





(続く)






2014年2月2日日曜日

ニセコ日記・その5[目くそ鼻くそ]









通りを挟んで、外人同士がいがみ合っている。





「こっち側に雪かきしないでくれよな。うちのビジネスに差しさわるんだ。」


とシャベルを片手に親分格のオーストラリアン。後ろで子分が睨んでる。






「そっちこそ、こっちに雪かきしないでくれよな。こっちもビジネスやってんだ。」


と、言い返すは、言葉巧みなインド人約3名。






観ている日本人の私は、ワクワクがとまらずに歩を遅めるも、時間切れのため、合えなく撤退。





その後の勝敗や如何に!?!?





見かけた方は、お知らせ下さい。





(続く)





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