2014年2月15日土曜日

ニセコ日記・その7[スニーキー・shikky/後編]








悪夢は、まだまだ続いた。


仕事を受けながら、すっかり忘れて帰るshikky。


引き継がれた仕事を、放置してやらないshikky。


具合が悪くて早引きした翌日、同僚とスノボーに行くshikky


その翌日、”うたたねしちゃった”と、自宅で2時間半、昼休みを取った後、再びオフィスでランチを
取り直す

shikky。


3時間半経過後に、さすがに駄目出し(by me)され、ちょっぴり不機嫌なshikky。


その翌日も、半日で早引きのshikky。


翌晩、ドライバー2名にエスコートされ、ご機嫌ディナーを目撃されたshikky。




プライベートはさておき、彼女の落とした仕事や抜けた穴を、これまでいくつ、フォローしてきたことか・・






”ちょっと、いくらなんでも酷すぎるよねぇ〜。”



と、ため息をつくのは、別の同僚、元顔黒族・Tanuko。


具合が悪そうだったので、早引きするように薦めたのだが、ばったり翌晩、街中で彼女に出くわしたらしい。


“ふーん。”


彼女も、当人の前では何も言わない二重人格星人であることを知っているので、 私は敢えてそっけなく
対応する。


“いや、ここだけの話なんだけどね、こないだお客さん宛に届いたデリバリーを、オフィスに置いてたん
だけど・・”


“・・?”


“たまたま部屋に入ったら、彼女、中身を開けて食べてて。私、もうびっくりしちゃった〜。”


“え〜っ!?食べるって、お客の出前を勝手に開けて、中身を食べてたってことっ?!何食べてたの??

それって、寿司か何か!?”


“いや、サイドディッシュなんだけどね。でも、ちょっとねぇ〜。


呆れて、開いた口が塞がらない。なんという 狡賢さ!






ギャグだ・・これはギャグに違いない!!!






そういえば、私が初日に持って来て、オフィスに置いていた私物を、勝手に開け、中身のお菓子だけを平らげ、

あとの私物を放置されたことがあったっけ!


翌日怒った私が、彼女に詰問すると、


“この部屋に置いたものは、共有物と認められるのよ。”と涼しい顔で言ってのけたshikky。


さすが中華系、食べられるものだったら、人のものでも、男でも(失礼!)食べるのかっ!?




段々怒りで胸が悪くなって来たので、休憩を取る事にする。



ムカムカする気持ちを抑え、こういう時用に持ち歩いている、愛読書のバイブルを、お弁当と同時にガバッと
開く。


『人間関係は、わたしたちを幸福にする為にあるのではありません。それは、私達を、”目覚めさせる”為に

あるのです。』


あまりのタイムリーな一文に、思わず目が止まる。


『例え、相手が無意識的な振る舞いをしても、決めつけは禁物です

なぜなら、それは、無意識にふるまう相手を、相手の”本当の姿”と混同することですから。』



(中略)



『闇と闘うのではなく、闇を照らす光になりましょう。


幻に反応せずに、幻を見つつ、その奥にある真実を見抜くのです。


裁く人ではなく、観察する人になりましょう。』



おぉぉぉっ!!!




単純明快な私は、感情的になっていたことはすっかり忘れ、たまたま書類を取りに現れたTanukoを前に、

弁当を頬張りながら、レクチャーする。


“ちょっとあんた!いい?今私に、宇宙からメッセージが降りてきました。要はね、彼女にはいいところがある

訳だし、なんせまだ若いんだから、一方的に責めるのは辞めましょう。”


“まぁ、そうだけど〜・・。でも、いいところって、どんな?”


“え〜っと、え〜っと・・例えば、穏やかなところとかさ・・”


そう。感情を露にしない彼女は、こちらが気を使う反面、火の粉が向かって来ることは、まず有り得ない。

なんせアンニュイで通してるんだから。


そういや、私が数分遅れて、謝った時も、全く気にせず、“ノーウォーリーズ”なんて普通に言ってたっけ。


それに、私にはどうであれ、客前での対応は、正直素晴らしい。


あんな可愛い子ちゃんに親切にされたら、誰だって、悪い気持ちはしないだろう。


多少のやり忘れがあったところで、実は、大したことではないはずだ。

なんせ、相手はオージー。しかもバケーションときた。


それに・・・


あまり公言したくはないが、実はその昔、まだ娘だった頃に、若さにかこつけてチヤホヤされ、バイト先の

おばさんたちの反感を買っているのを知りつつ、図に乗っていた自分が居た記憶が、先の瞑想で、

よみがえってきたのだ。


もしかして、これって、ただ単に、自分にツケが回ってきたってこと?


つまり、れっきとしたカルマの法則?!?


首を振る私に、次なる記憶が頭をよぎる。


確かあれは20すぎの頃・・


当時バイトしていた、カナダの寿司屋で、ダスターに置かれたままの、手つかずの卵焼きの存在がどうしても

気になって、3回程行き来した挙げ句、一気に頬張った瞬間を板さんに見つかって、現行犯でとっちめられた

ことが、あったような、なかったような・・・



その昔読んだ本によれば、


「悪人になる勇気のない者が、善人に留まる」という。



ということは、小心者で中途半端な自分に比べ、Shikkyの方が、一枚上手ということか??



しばらく話を聞いていたTanukoは、わかったような、わからないような顔をして、言ってしまった。


ま、良い。所詮彼女も、若い娘の一人なんだから。



しかし、shikkyの、並外れた振る舞いの一つ一つ・・・



実はあれ、人の忍耐度をチェックする、ドッキリカメラなんじゃないの?と、内心疑い、ちょっと楽しむ自分も

いたりする。



迷える子羊と悪魔の戦いは、まだまだ・・続く。





追伸:shikkyって、どう発音するの?と、こっそりお思いの皆さん。

恐れる必要はありません。式部のシッキー、shikkyです。


黒髪ロングのうりざね顔に、薄い眉毛。


紫式部にそっくりなんだな、これが!



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