2011年1月5日水曜日

ヤン車





題名を見て、ピンときたあなた。

おめでとう、あなたは仲間入りしました。


はい、他でもない、うちの新しい車の話です。



だいたいメキシコに来てからというもの、何が私の障害になったかっていうと、
それは一言、「移動手段」。



九州の下町で育ち、東京やらシンガポールやら、都会暮らしの長かった私にとって、移動手段はというと、もっぱら電車かバス。


実のことをいうと、私、去年まで免許を持っていませんでした。


かれこれ20数年前、カナダにワーホリで行っていたとき、途中まで免許を取り掛けたものの、何かの都合で保留となり、「まぁ、またチャンスはあるさ。」くらいに、のんびり構えていてはみたものの、普通に大学卒業して、社会人になったら、教習所にいく時間など、もちろんあろうはずもなく、また、東京で生活していれば、車が必要なこともなく、だいたい、皆こぞって免許取りに行くけど、別に全員が全員、運転できなくったっていいんじゃないの?くらいに思って過ごすこと、○十○年。



サーフィンしていた時は、周りの人に、「免許持ってないの?それで、どうやって移動するわけ?!」って、真剣に驚かれたけど、べ~つに~。



シンガポール時代は、バスにも普通にボードを持って乗ってたし、タクシーにも、一瞬、拒絶され掛けることもあったけど、そうされる前に、ぱぱっと、要領よく入れちゃうんで、彼らも文句言わずに運んでくれた。



バリは、バイクにラックがあるから、クタビーチはおろか、ビンギンでも、サヌールでも、ちゃっちゃか行けるし、困ったことなんて、一度もなかった。



その後、地元の九州に戻って、海までの公共機関がないと発見した時には、一瞬引いたけど、それだって、根性でちゃりんこ2時間こいで、ポイントまで出かけていたら、見ている人はちゃんと見ていて、「次に行くときは、連絡したら拾ってあげるから。」と、絶対、一回りは年下であろう地元少年に、優しくしてもらったりもした。


車なんて要らないじゃん!公共交通機関、ならびに自転車万歳!
・・そう思い続けていた夢は、ここ、メキシコにきて砕け散ってしまった。


車がないと、どこにも行けないのである・・・


もちろん、バス、コレクティボ(乗り合いバス)の類いはあることはある。


しかし、この公共交通機関ってのが曲者で、ちょっと買い物に行くのに、バスを乗り換えなければいけなかったり、また、のろのろと進む、冷房もない車中に缶詰になっていると、チャリンコで行った方が早いんじゃないの?とさえ、思えてくる。


食料品を買いに行った時は、20ペソ(120円)払ってタクシーで帰る。


まぁ、20ペソなら、そんなに高い金額ではないけれど、でも、朝、電気代を払いに行って、昼一で髪を切った後、スーパーに行き、戻って早い夕食を住ませて、ヨガに行こうとすると、タクシーを使えば、一気に支出が150ペソ(900円)にもなってしまい、そんな悠長なことをしていたら、一気に破産してしまう。


だったら、チャリンコかバイクで行けば?と思う方も中にはいるかもしれない。


が、それは問屋がおろさない。ここは、灼熱の国、メキシコ。


寒季は良いとしても、暑い時期にバイクなんて乗ろうものなら、もう、5分で真っ黒に焼けてしまうでしょう。


ってか、その前に、今流行の熱中症であっという間に、具合を悪くしてしまうこと間違いなし。
(以前、日本から来たミュージシャンのアテンドをした時、冷房の効いたバスに乗せたにも拘らず、陽の指す側にご案内してしまった為、15分も立たないうちに、具合を悪くさせてしまった経験あり。)


そういうこともあって、私の行動パターンは非常に限られる事となり、それまで、何かチャンスを見つけてはふらふらして回る生活から、一気に引きこもりになってしまった。


そして、相棒が仕事や配達に出掛けるタイミングを見計らっては、やれ、買い物に銀行にと出掛けるのだが、それでもさすがに学校や、趣味のヨガまでは回らない。


こうして、ストレスは徐々に加算され、限界を超える毎に、私は荒れ狂っていた訳である・・


そんなこんなで、去年の7月だったか、ニコニコ顔で帰ってきた彼が、「届いたよ!」と嬉しそうに私に言う。


そして一瞬の沈黙の後、「君に車を買ったんだ。」と宣(のたま)う相棒。


嫌〜な予感がして、「どんな車?」とさり気なく聞くと、「ルイスだよ。」とまた、訳の分からないことを言う。


曰く、前の持ち主が、その車のことを、”ルイス”と呼んで愛用していたらしい。


でも、メキシコに住んでるのに、アメリカで買うって一体どういうこと?

またいつもの、安物買いの銭失いじゃないの?と、それとなく様子を伺うも、どう良く解釈しても、相当型落ちの車らしい。


だいたい・・そんな大きな買い物するのに、なぜに、私の意見を全く取り入れぬ?


こういう彼の突拍子のなさが、真面目で四角四面(?)な私には、一向に解せないが、彼曰く、アメリカで買って、君が、メキシコに「輸入」する形にするのが、経費がグンと安くて済む・・のだそうである。


最初は、9月の帰国時に、復路のアメリカで落ち合って、その車をピックアップする予定だった。


が、話によると、「ルイス」はちょっとした整備が必要だということで、最初に話を聞いた7月から、9月のピックアップはクリスマスの12月に伸び、たまにカンクン市内を運転していて、相棒が、「あ、あれあれ!あれが、ルイス!!」と叫ぶ先を見ると、そこには、オンボロ車がヨレヨレと道路を走っていて、手に入れる前から、気持ちが沈むのである。


別に動けば、車なんて、何だって同じだよ!とそれまでは豪語していたけど、どうしてここ、メキシコやアメリカの古い車というのは、本当にボロボロなんだろう・・


そして、どうして物の溢れたアメリカで、よりに寄って、あんなボロボロの車を買う事にしたのか、相棒の心中も計り兼ねるし、「ルイスは、燃費が本当に良くてね。」とか、「パーツ自体は、とても性能がいいから、○○を交換したら、あと△△マイルは軽く乗れる!」などと嬉しそうに話すのを聞くと、なんとも知れぬ、恨めしい気持ちにさえなるのである。


果たして、私より1週間早くテキサス入りした彼は、実家のお父さんと共に、毎日、ああでもないこうでもないと、1日の大半を、その車に費やしている。


用事があって電話しても、ろくに電話口にさえ出ない有様なので、段々イライラしてきて、「パーツを変えたら、すぐ乗れるんじゃなかったの??」と攻めの口調に入ると、「だから、そのパーツを、今変えているんじゃないか!」とこちらが怒られる始末。


だいたい、なんで、そんな大幅な整備が必要なボロ車(失礼!)を買うのか、私には一向に解せないが、男ってのは、やれ、車だのバイクだのが好きだから、私も相棒ママと同様、余計な口出しはせずに、勝手に楽しませて置こう、と年末ぎりぎりに現地入りした私。


そして、ゲートに入るなり、私を待っていたもの・・それは、紛れもなくルイス・・っと、違う。


車体にはなんと、「○ヨタ、カローラ」の文字が入っているではないか!



えっ?!カ、カローラって、うちの親が70年代に乗っていたやつじゃなくって!?!?!?!


そうです。このカローラ、かなり年期の入ったボディー(当然です)で、あちこち錆びてるわ、フロントガラスにヒビは入っているわ、窓ガラスは手動だわ、シートには穴が開いてるわ・・


おまけに、運転する度に、この車、『バルルルルンッ!」とものすごい爆音がするのです。座席を伝わってくる振動も相当ひどい!!


彼によれば、「これこそが、本当の車のエンジン音だ!」ということで、彼のみならず、つい最近まで、ロケットエンジニアだった、80近いお父さんまでもが、真っ黒になった手を合わせながら、「よかったね、Kyoko。君のルイスは最高だ!」なんて、ぜんっぜん嬉しくないんですけど!!!!!(涙)


私、正直、そんなに物欲ある方じゃないです。


相棒母に買い物に誘ってもらっても、そんなに買いたいものがある訳でもなく、だいたい人ごみが苦手なので、お店も、3つも行ったらヘトヘトだから、すぐに帰っちゃう。


化粧もしないし、いつもトレパンにTシャツきてるから、何にお金を使うってことでもなく、まぁ、強いて言えば、プチ旅行の交通費と宿代くらい???


なのになのにな~の~に~!!!


なんで、私、この年にして、あんなバルルン・ヤン車に乗らなくちゃいけないの!?


別に、勝ち組の友人の乗ってるベンツとか、BMとか、サーブとか、そういう高級車に乗りたいって行ってる訳じゃないんです!


でも、でもでも・・


せめて、シートに穴が開いてないやつ、車体の4隅が錆びたり、穴が開いてないやつ、って望むのはいけないことなのでしょうか!?


相棒とその父が盛り上がる毎に、私のテンションはそれに反比例して、ドヨ〜ンと落ちて行き・・ってか、相棒ママも相棒パパも、自分たちは、思いっきり最新式の車に乗りながら、なんで私だけが、ボロ車な訳!?



なぁにが、コングラチュレーションじゃぁ~っ!!!



・・という訳で、爆発したいのをぐっとこらえ(なんせ3対1ですから、今は。)、物事の明るいサイドを見ようとすれども、助手席に座り、目の前のフロントガラスのヒビを見ただけで、泣きたい気持ちになってしまいます。



あぁ、神様、私は今朝の瞑想中、あなたにこうお話しました。


「神よ、私は恐怖心を捨て、あなたに全てを委ねます。」と。


こちとら、九州女。


今更その言葉を撤回は致しません。

・・が、それならいっそのこと、委ねがてら、私をどこか遠いところに、運んでは頂けまいか?!


自転車でどこでもいける北京とか、あっ、なんなら、私に羽を頂いても結構です!
どこでも、好きなところに、勝手に飛んで行きますから。


とにもかくにも、新年早々、相変わらず騒がしい身の周辺。


愚痴るのはここだけにしといて、こうなったら思い切って、ヤンキーステッカーとか、なめ猫グッズとか探してみようかな?


しかし試乗する前日に、近くのサーフショップで買った短パンが、紫のヒョウ柄だったのは、ただの偶然?それとも、神の思し召し?!




そんな訳で、次回皆さんにお会いできるのを、心から楽しみにしてます。(わずかにイメチェンしている可能性があります)

カンクンにお越しの際は、是非、我が「ルイス・ヤン車サービス」をご愛用下さいませ。


心よりお待ちしております。(夜露死苦)




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2 件のコメント:

  1. おめでとう~~~!
    良かったじゃない!
    足ができて!

    いくら車の四隅が錆付いていようとも
    パワーウィンドウでなくても
    (私は手動の方が安心。下手な中古は
    パワーウィンドウのモーターが壊れてる場合も・・。
    パワーウインドウが壊れてて嵐の日など、
    ビニール貼って走ってる車を見たりします)
    私は"よく走る、燃費、信頼できる"のが一番だと思います。
    今の車はコンピュータ制御?みたいなのが多く
    トラブルがあった時は、
    めんどくさそうな気がするのは私だけかしら?
    メキシコで車が故障した場合、
    古いタイプの車を修理する方が、
    メカニックも選ばずに安くできそうな気がします。

    私なんてバグが死んでから、
    相方の運転で送り迎えしてもらって肩身が狭い。
    そしてここハワイ島では、
    そのような車がフツーに沢山走ってます。
    車上荒らしも避けられるし、二度美味しい感じですが、
    いかが?

    カローラに新しい名前をつけてあげたら、
    もっと親しみがわくかもよ?!
    ルイーザとかは?♪

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  2. は、は、は、新年早々笑えるー!ちなみに色は何色?
    しかし私は熊さんに賛成派。(勝手にあだ名つけてごめん)
    だって、私は結婚直前に新車を買っていた夫に今だに腹立つもの。だってあなた、毎月のローンの返済大変よ!それも日本の価格の約倍する日本車よ!!高い利子つきよ!!!私はヤン車賛成よ!!!!

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