2011年9月8日木曜日

欲張りな猿は・・



早いもので、もう9月も中旬に差し掛かろうとしている。

カリフォルニアの山から降りてきて、もう1週間も経つのに、未だ調子が戻らないので、自分で自分に喝を入れることにした。

まずは、近くの大学付属校Dにメールする。

”ハロー、こちらはKyoko!昨日、アメリカから戻ってきました。ところで、開講予定だった日本語のクラスは、結局オープンしなかったのかしら?もしそうだとしたら、申し込みをしていた生徒に、念のため、私の連絡先を教えて貰えませんか?彼らの勉強の機会を失ってはかわいそうだから。そちらのコースは、また生徒が揃った時に連絡下さい。”

9月に開講したいといって連絡してきたものの、その後何の音沙汰もないので、とっくに諦めてはいたが、それでも何人かからの申し込みはあったと聞いていたので、その子たちをプライベートで教えられないかと、連絡してみたのだ。

そんな虫の良い話はないだろう、と端から高をくくっていたにも関わらず、Dからの返答は、意に反してこのようなものだった。

”オッケー、君の連絡先は彼らに伝えておくよ。ところで、今、英語のクラスのポジションが開いているんだ。◯曜から△曜の◯時から△時まで。時給は××ペソ。うちの学校のシステムを学ぶのにもいいし、どうだろう?来週から始まるので、もし興味があったら折り返し連絡下さい。”



一瞬のことに思わず目が点となる私。



英語・・・??

私が英語を教えても・・いい訳・・?!



日本語を教える前にも、かなりの躊躇があったというのに、今度は英語ってか?!

あの時も相当の迷いがあったが、結局最終的な決め手はこうだった。


”ま、いいか!ここは日本じゃないし。誰が見張っている訳でもないし。”

いい加減でいてもいいのが、ここ、外国に住む者の特権である。

かくして、自分のスペイン語と日本語の知識と格闘しながら、ここまでくること1年半。
失敗に寛容で、いつも朗らかで居てくれる生徒たちよ、ありがとう!

やってみれば、小さな問題こそあれ、実際は思ったよりも楽しく、実は自分はこの仕事に向いているんじゃないかとさえ思ってしまいそうな今日この頃。そこに、今度は英語クラスのチャンスまでもが到来か?!

現金かつ単純な私の頭の中には、すぐに邪(よこしま)な考えが過る。


『英語、日本語、両方教えます。地元日本語学校ならびに大学付属校での経験あり。楽しいKyoko先生のクラスへようこそ!』

う〜ん、いいねぇ〜!この際、やっちゃう!?

が、問題は時間帯だ。

クラスは夜なので、もし撮影の仕事が入れば何かと足かせになる。

そこで、ここは念のため、相棒の意見も参考に聞くことにする。

”あ〜、もしもし?ちょっと相談があるんだけど。これから行くから。”

ジャングルの撮影から帰還したばかりの熊公、もとい相棒を捕まえて、話を切り出す。


”実はね、例の学校の新規コースの件なんだけど、日本語コースは結局開講しなくて、代わりに英語のコースのポジションが回ってきたんだけどさ。どう思う!?”

”は?”

”だから〜、英語のクラスを教えないかって言って来た訳よ〜。どうよっ!?週4日もあるわよ。”

”駄目でしょ。”

”は?”

”駄目でしょ。”

”は?”

”駄目だって言ったの!”

”なぁんでよぉ〜!?”


駄目だと言われるとムキになってしまうのが、私の悪い癖である。


**


相棒によると、私が英語を教えるなんて、問題外であるとのこと。
ま、もちろんそんなこと、始めからわかっていましたけどね。でも、頭からそう否定的に言われると 、反抗したくなるのが、人の心というもの。
いくら、ビギナーだから大丈夫じゃない?とか、日本では留学経験もないような人が子供に英語を教えている、と言っても、取りつく島もない。

一応ネイティブとして生まれ、書く仕事もしていた人間からしてみれば、妙な中国語なまりに、お世辞にもうまいと言えない英語で喋っている私が、彼らの言語の教鞭を取るなんて、許しがたいことに違いない。

ま、かたことの日本語の外国人が、別の外国人に日本語教えてるのと同じだもんね。それは分かるけど。



”それにね。”と彼は続く。

”さっきさぁ、君、何て言ったと思う?Greedy Monkeys fall the Foods(欲張りな猿は食べ物をも落とす)って言ったんだよ。君、どうするの?生徒が別の場所に行って、『英語の先生にこう習いました。Greedy Monkeys fall the Foods!』って言われたら。一体どういう英語習ってんのってことになるよ。マジで。”

ははは。確かに言いましたとも。

いや、あまりにも彼が強欲なことばかりいうので、『猿も木から落ちる』(Even monkeys fall from the trees)を文字ってそういったのだが、私以上に狡賢な彼は、すぐに私のインチキ諺を見破ったのであった。

自分的には、ものすごく良く出来た一句だったんだけどなあ・・。

英語教えながらも、たまーに漢字の由来なんかを織り交え、緩〜く生徒たちの興味を、日本語にスイッチできないかと、密かに考えていたのは確かですけどね。(暴)

しかし、相棒に言わせると、その学校はお金持ちのご子息が来る学校で、英語をきちんと学習して将来に役立てないといけないからして、そんなことには絶対ならないらしい。

ま、諺通り、欲張りな考えでいると、手の中にある食べ物さえ落とし兼ねないので、ここは気長に構え、現存クラスの新カリキュラムでも考えることにしましょうか!


"Sleep and wait for good luck"(果報は寝て待て)



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2 件のコメント:

  1. 山から降りてきたのね,欲張りなお猿じゃなくて、お嬢さん!
    文章からリフレッシュしたパワーが伝わってくるみたい。
    いやーでも無事でよかった。これからまたブログ楽しみ。
    日本語の先生、案外転職かもね。わたしも授業受けてみたい!

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  2. mama tapone さん:

    息子ちゃんの日本語教育の際は、是非ご用命を!
    ところで、仲良しのイタリア人カップルが、ここメキシコからタヒチにもうすぐ移住するんだって。おぉ〜、私も一緒に行こうかしら。:)

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