2011年8月1日月曜日

ロシア人、やってくる Vol.2



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さて、時刻は午後8時30分。

明日の撮影だというのに、先方からは、その後何のスケジュール連絡もなく、あやふやなまま、機材をトラックに積み込む相棒とビクター。



実は、彼らが帰ったあとに、ちょっとした事件があった。



彼らと入れ違いに、機材レンタルをしていた別の某ヨーロッパ人一行が、追加分を求めて、スタジオに現れたのだ。



先ほどのやり取りで、すっかり上機嫌な相棒は、プロデューサーなる男に、こう語る。



”いやぁ〜、全くなんて一日なんだ!今ね、ロシア人の一行が来てたんだ。観光客誘致のPRビデオを撮るんだって。これからは、ロシア人のツーリストがたくさんやってくるぞ〜。あっはっは!”

すると、それまで黙って話しを聞いていた男が、こう切り出したのだ。

”じゃ、支払いの時は、気をつけた方がいいね。僕の知り合いが、ここで旅行エージェントをしてるんだけど、ロシアから入って来るユーロは、偽札が多くて困り者だって、言ってたよ。”



”え〜っ!?!?!?!?”




そういえば、ここカンクンは、世界のリゾートと言われるだけあって、人種のルツボでもある。そして、ペソしか受け付けない店も結構多いのだ。

慣れるまでは、感じが悪いなぁくらいにしか思っていなかったけれど、そうか、外貨を受け付けないってのは、そういう意味だったんだ!



一瞬にして笑いが凍り付いた相棒は、彼らが去るや否や、私を伴って、隣町に車を飛ばした。

出掛けた先は、ごく庶民的な文房具屋。


「なんとかマーカーを探す」と言うので、蛍光ペンでも買うかと思いきや、彼が店員に聞いたのは、なんと偽造紙幣発見用ペンであった。

まさかこんな店で、そんなものが売ってるなんて!
その存在自体さえ知らなかった私はぶっ飛んだ。


ちなみに、このペンをお札に滑らせ、何も反応がなければ本物、黒く変われば偽札らしい。

本当にそんな安っぽいペンで、判別が出来るのかどうか定かではないが、それにしても、ヤワな日本人の私には、新たなるカルチャーショックであった。

だいたい一体、何人の日本人が、この、偽造紙幣発見ペンの存在を知っていることだろう?!



しかし、取りあえずブツは手に入れた。



あとは、彼らのスケジュールに合わせ、明日一番でお金を受け取り、慌てず、静粛に、それらを”チェック”するだけだ。

その後、夜半過ぎに連絡が来たあとは、翌日の修羅場に向けて、早々と床に入った。






(続く)



4 件のコメント:

  1. 仕事が忙しそうで良かった、良かったと思ってたら、
    意外な方向に向かってきたね(汗)
    なんか、映画みたいな展開だわー。
    偽札に神経を尖らすなんて、中国に行った時以来だわ。
    それにしても、その何とかマーカーってスゴイね~。
    文房具やさんに売ってるの?
    私も一本欲しいわぁー。

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  2. ここだったら、多分気軽に手に入るのだと思います。

    ところで、最近のUSドルの下落ぶり・・驚きますね〜。
    日本では絶対に換えられない・・

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  3. ドル77円台だよね~。
    すごいよねー。
    そもそもの原因はアメリカの債務問題。
    期限切れの2日に、国債の発行上限を上げて
    かたが付いたのかな?
    これで、少しはドルも戻るんじゃない?
    でも、日本もそうだけど、返済の確かな道もなく
    国債を発行し続けるだけで、
    借金が膨れ上がってるようにしか見えない。

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  4. さささん:

    おぉ
    そうだったのね。勉強になります。
    でも、不景気のくせして円高な日本ってのも、なんだか〜よね。
    我々には、優しくあって欲しいわ。とほ。

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