2011年12月13日火曜日

さぼってちゃいけません Vol.8

                                                          La ignasia (Oaxaca)


私の相棒は、いつも私にこういう。

"Kyoko, Enjoy your life! "

彼に取って、人生の最も重要なことは、自分が”楽しんでいるかかどうか”なのだ。
なんて短絡的なんだと思う。


”そんなに簡単にはいかないわよ。”と私は答えるが、ある意味、彼の言う事は当たっているとも思う。

自分の意志一つで、状況は、楽しくすることも、また逆に惨めにすることも出来るものだと、最近の私は考えるようになった。

不幸や不満に酔いしれるのは、簡単である。

日本に住んでいた時、今考えれば、とても恵まれた環境の中にいたけれど、私は決して幸せではなかった。いや、充分幸せではあったけど、それが当たり前すぎたが為に、有り難く思う機会もなかったのかもしれない。所謂贅沢病ってやつだ。


少なくとも、モヤモヤとした気持ちを抱えていた当時の自分は、勇気を奮い起こして一つの賭けに出た。

日本の外側を見てみようと決意し、それを実際にやってみた。
ただそれだけだ。


まさか、そこから始まって10年後、日本とは真反対のここ、メキシコで、これほどの不便かつ貧乏生活をすることになろうとは、当時は思いもだにしなかったし、全くの誤算であったと言える。
けれど、拭いきれない気持ちを抱え、行動に出さないまま、あれからずっと不幸に浸って生きてきたとしたら、どうだろう?きっと後悔していたのではないか?


実際、行動に出るのは、難しい。
私は大の臆病者かつ、石橋を叩き割ってしまうような性格なので、 ずっと出来ない言い訳を自分にし続けて、行動するのに人一倍の時間を要する羽目となった。

けれど当時、家族や社会のせいにして、出来ないと必死で自分に辻褄を合わせていたことは、単なる恐怖心の裏返し、自分自身への怠惰に過ぎなかった。要はさぼっていただけなのだ。

まぁ、そういう訳で、せっかくこんな地球の反対組んだりまでやって来たのだから、簡単に弱音を吐いていたのでは始まらない。

ある意味、相棒の提唱するところの、「幸せ主義」を選択した上で、日頃の些細な(?)アクシデントには目をつむるのも、悪くはないのかもしれない。


さて、それにしても、オアハカの空はさわやかに晴れ渡り、気温はサンクリストバルとは打って変わり、非常に穏やかで過ごしやすい。


気候の成せる技は大きい。


久しぶりに肩の力を抜いて散策を楽しみながらも、肝心の町中はというと、そこまで何かが発展した感じでもない。サンクリストバルの方が、より観光地的雰囲気で、小さい場所に色んなものが凝縮された感じ・・そう、日本で言えばカンクンが京都なのに対し、こちらは奈良という感じか?

のんびりとした空間が広々と広がり、何かが飛び抜けて垢抜けた感じはないけれど、なんとなく過ごしやすい。

結局この日は、一日町中を歩いて回って終わり、日が暮れた後は、ガイドブックで見つけた安宿にて早々と就寝した。前日のバス移動の疲れもあって、熟睡。



そして翌日、ホテルで貰った 朝食用チケットを持って、指定のカフェに入るや否や、そこに飾ってあった写真の数々に心を奪われてしまった。


それは、まぎれもなく、インドで撮られた写真であった。
象の頭を持つガネーシャ、老婆に老爺、物売りの少年、市場の人だかり、懐かしいアジアの香りが、写真を通して伝わって来る。


何とも、不思議な取り合わせであった。

私は今、メキシコの片田舎にいて、古びた建物を改装したカフェの、椅子に座って辺りを見回している。

店内は、地元のメキシコ人、バックパッカーがメキシコ風朝食を取っていて、けれど、その図に写真が、実にしっくりと当てはまっているのだ。

 私は時間を掛けてその一枚一枚を眺めてみたが、最初に目に飛び込んできた一枚・・リキショーを押す少年の鋭い視線を撮ったものから目が離せないでいた。

コーヒーを運んできたウェイターの男の子に、誰が撮ったものかと聞くと、地元に住む、外国人アーティストに寄るものだという。祖国からメキシコに移り住んだ後に、わざわざインドまで出向くなんて一体どういう人物なんだろう?

時々、夕方にこのカフェで一人、お茶を飲んでいるという。

持ち前の好奇心がムクムクと顔を出して、連絡先を聞いてみたが、知らないという。

仕方ない。また、出直すとするか。

(続く)



4 件のコメント:

  1. 今まさに旅の途中なのかしら?その写真を撮った人と出会う事ができたら素敵だね。旅に出るとそういうご褒美があるよね。

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  2. 私も人生を楽しむのに賛成!
    自分の感情や周りの人への期待に振り回されてるばかりじゃ
    いつ終わるか分からない自分の人生、いざ終わる時に、
    なんて恵まれない人生だったんだと後悔しそう。
    まぁ未だ、自分の感情を上手にコントロールするのに手間取ってるけど。。
    日本は本当に恵まれてて、そこで育った私たちの不幸は、
    その便利さと文化に慣れすぎてしまってる事だよね。
    いちいち日本と比較したんじゃ、やっぱり日本に軍配があがることが多いし。
    最近は私も比較することを止めました。楽です。
    はてさてKYOKOちゃんは、そのフォトグラファーとめでたく出合ったのか気になるところ。

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  3. こんにちは KYOKOさんはじめまして。
      
    なんでもやってみないとわからないですよね。

    私もKYOKOさんを見習って勇気を出してポンっとどこか外国に住みたくなりました。

    ここのブログを読んでヴィッパサナー瞑想10日間
    行ってきました。本当にすばらしい体験でした。
    今回は日本の施設でしたが次回はタイかネパールあたりの
    施設に行ってみたいと思っています。

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  4. akariさん、こんにちは!ヴィパッサナ、行かれたんですね!
    日本の施設はとても良いと聞いてます。私もしばらくごぶさたしてますが、また行きたいと思ってます。コメントありがとうございました!

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