2014年1月20日月曜日

ニセコ日記・その3[ハウスメート編]




*パーティーガール・ハニー



ハニーは台湾生まれ、香港育ちのチャイニーズ。


チャイニーズらしく、若手ながら頭は切れ切れの彼女は、その才能を買われ、花形マーケティング部にて
ご就労。


今時の念入りアイメークは、コスプレフィギュアのようでもあり、各種パーティ会場、サンタとゲレンデで
記念撮影、花火を見ながらカウントダウンには、必ず彼女の明るい笑顔がある。


会場から”Kyoko〜!"と手を振る彼女の姿は、まるで芸能人のそれのようであり、私が若い男だったら、

ちょっとした優越感に浸ったかもしれない。


しかし、彼女を家で見掛けることは・・皆無に等しい。




代わりに見かけるのは、のっぺり顔の、生気のない(もしくは二日酔いっぽい)若い娘が、亡霊のように

私の前をフ〜っと横切りトイレに出入りする姿。


人間・・・何事もオンオフが大切なのだ。








*自然食推進派・さおり




居心地の良いコミュニティーがある八ヶ岳から、仲間に誘われて来た、というさおり。



到着した当日に、放射能汚染による食物への影響を延々と語った彼女は、”誰も私の話を聞いてくれない

けれど、私は嫌。”と、居間に堆く積まれた、自分宛の段ボールを開封する。


箱から出て来たのは、ティポット、各種鍋、土鍋、自前の炊飯器(ここにも備え付けのがあるが、

人と共有するのが嫌らしい)、体に良いお酒、体に良いみりん、体に良いこんぶ、(以下「体に良い」
は省略)あずき、はぶ茶、野草茶、はと麦茶、穀物コーヒー etc。


居間部分は、日に日に彼女の私物で占領され、それでも嬉々として「甘酒」など作って、ご満悦な彼女。



共有部分に(主に彼女の)ゴミが散乱・蓄積されていくことに堪え兼ねて、ある晩、一人大掃除をしていたら、

そこに帰って来たさおりが一言。


”あ、kyokoさん、お風呂場は、洗剤をつけて洗ってくれる?入る時ザラザラして嫌だから。”



前世私は、彼女の「バアや」・・だったらしい。







*今時青年・良太




良太は、年の功から言えば、私の息子といっても良い、うら若き青年。
道産子らしくおっとり型。料理はスマートフォンの「作り方」に沿って行う。


おっとり型ゆえ、寝坊もしょっちゅう。
それもそのはず、今時の青年らしく、ゲームに夢中で、ついつい夜更かししちゃうのだ。


同年代のハニーはそんな良太が癇に障る。


”いつも電気やストーブをつけっぱなしだから、目玉が飛び出そうなくらいに光熱費が高いのよ。

何度言っても居間のドアも開けっ放しで出て行くし。だいたい、日本の男は甘やかされててだらしないっ!”



確かに台所に、何日も放置された食器は、彼のものであるケースが多いし、何かしてあげても、

「ありがとう」の一言が言えないところは、機転の効くハニーの側に旗一本。


台所のポタポタを直したくて、工具を借りて来るよう何度も言うのだが、忘れて持って来ないので、

仕事場に電話して催促したら、その晩、やっと持って帰って、「はい。」


なんや、あんたがやってくれるんちゃうの?と思いつつ、四苦八苦しながらも、蛇口と格闘。
修理し終わって、ふと顔を上げると、そこにはソファーにくつろぎ、足を広げてゲームにご執心の

彼の姿が・・。



くぅ〜っ!日本の男もここまで落ちたか!



情けなさに涙するも、すかさず作戦変更。



昨晩は、洗い物放置2日目の彼の就寝時を狙い、さおりが止めるのも聞かず、階下から叫ぶ。



「ちょっとーっ!これ、今すぐ洗ってちょうだいっ!!」



寝ぼけ眼で降りて来て、洗い物をする彼の背後から、



「次回やったら、自衛隊に送るわよ!」と叫ぶ私に、隣で真剣に顔を引きつらせるさおり。



私達の冬は、まだまだ長い・・・




(続)





.

0 件のコメント:

コメントを投稿