Bora bora, Tahiti
|
時々、ふと思うことがある。
それは、「人は、自分をどのように見てるのだろう?」と言うこと。
例えば私がヨーロッパに住んでいる、と公言したとしよう。
そしたら、人々の私に対する心証は、なんとなく良いものかもしれない。
それは、私たちの脳裏には、ヨーロッパに対する既成概念みたいなものがあって(たとえ行ったことはないにしても)、それを背景に、その人を重ね合わせるのではないかと思う。ある人は、私の背後にエッフェル塔を思い浮かべるかも知れないし、ある人は、私が2階建てのバスに乗って、町を移動しているところを想像するかもしれない。
例えば私には、タヒチに仲の良い友達が住んでいて、私が彼女のことを考える時に、まず頭に浮かぶのは、濃い緑の山々だとか、青く深い海、そしてポリネシア人々の朗らかな笑顔で、そんな風景の中を、生き生きと、歩いている彼女の姿を想像しては、一人微笑むのである。
同様に、東京で働く友人のことを思い出す時、私には彼女が一人机に向かって、何かの書き物をしているところが思い浮かぶ。
それは彼女がいつの時代にも、常に仕事熱心であり、どんな状況下に置いても、徹夜も厭わずに仕事をしているところを、何度となく見たからであり、それは今の相方にも通じるところがある。
彼はスタジオにいる時は、常にあちこちへ動きながら、何かの作業に没頭しており、私が側で話している時も、その手を絶えず動かしている。なので、彼のことを思い浮かべる時、私には、彼が働いているところしか思い浮かばないのだ。
結局私たちは、自分の見ているその人から、何らかのイメージを構築し、その人物イコール、その場所なり、人物像なりのイメージと、記憶させているのかもしれない。
さて、そこで思うのが、我が身のこと。
どうして自分は、自身に対するイメージとはほど遠い、こんな辺境なところに住んでいるのか?
最初にお断りしたいのは、自分は特別にラテン音楽好きでもなければ、サルサ好きでもないということ。
晴天に突き抜けるようなラテン音楽は、元来、頭痛持ちの私には、少し刺激が強すぎるし、踊りも、一時は友人に誘われて、ポールダンスまで習いにいったが、自分には全く不似合いであった。
毎日家で作る食事は日本食にて、基本的にはアジアLOVE。
映画も食事もアジア系好みで、時間があれば、ヨガに通ったり、インドの瞑想曲を掛けたり、旅関連の本を読んだりと、ラテンとは、まるで関連性のない生活をしているし、未だに、この国の料理をはじめ、現地人の暮らしぶりも、よく行われているフィエスタや、宗教行事も、ほとんどわからない。
そして、自分はここで何をしているんだろう、と時として、不思議に思うのである。
ちなみに、ここに住んでいる日本人をつぶさに観察していると、彼らがここに住んでいる理由はだいたい、次のように分けられる。
1.大学時代、スペイン語専攻だった。本当はスペインで仕事がしたかったが、ビザの関係で、メキシコまで流れてきた。
2.カナダ(もしくはアメリカ)に留学中、現在のパートナーと出会って、そのまま移ってきた。
3.サルサがとにかく好き。
4.バックパックで旅行しているうち、なんとなく居着いてしまった。
5.駐在員として来て、そのまま在留。
6.カリブの海に魅せられて。
彼らが、どこまで地元に溶け込んでいるのかは謎だけど、感性の異なる人々の中に混じって生活するのは、一筋縄ではないと思うし、よっぽど好きでなければやっていけないと思う。ましてや、それが地球の裏側ともなれば尚更だ。
私は融通も利かないし、上のどれに該当する訳でもない。
更には、自分から志願してここまで来た訳のでもないので、余計に宙ぶらりんな感じがするのかもしれない。
そんな訳なので、たまに、仲良しの友達の主催する太極拳のクラスを覗きに行った後、二人揃って、アジアンカフェに出没する。
そして、アジアンチックなちゃぶ台を囲んで胡座をかきながら、”なんかここ、バリっぽいよね〜。”などと言い合い、海を見ながらまったりと午後を過ごしていると、自分がどこにいるのかさえ忘れてしまう。
ちなみに、彼女も私も、メキシコで骨を埋める予定は、今のところ、ない。
仕事上で諍いが起きた時、周りの人々は、大抵の場合、こういう言い方をする。
”まぁ、メキシコだからね〜。”
しかし、別のまたある時、彼らに、将来の予定を尋ねてみると、その答えは、メキシコ中部の、とあるアートの町に引退することだったり、山に囲まれた小さな少数民族の町にカフェを出すことだったりする。
意外にも、隣国のグアテマラや、他のラテン国の名前が出てこないのも、面白いといえば面白い。
思うに、やはり彼らはメキシコが好きなのだ。
もし選べるチャンスがあるのなら、私は次は、全く違うどこかに行きたいと思っている。
せっかくここまで来たのだから、中南米(メキシコは、北米の一部です。念のため。)を一度は回りたい、と当初は思ったけれど、今はそんな予算があったら、全く違う文化圏に行きたい。
便利で、豊かで、雨漏りがしなくて、自然が豊かなところで・・
え、それ日本だよって?
ははは、そうかも知れません。
けれど、今のところは、まだ外側で充分です。
先の友人曰く、我々の魂は色々と探求したい魂なのだそうな。
(続く)
.
0 件のコメント:
コメントを投稿