Yosemite, CA |
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ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
淀みに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。
世の中にある人と、栖とまたかくのごとし。
たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、いやしき、人の住ひは、
世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ねれば、昔ありし家は稀(まれ)なり。
或は去年焼けて、今年作れり。或は大家亡びて小家となる。
住む人もこれに同じ。
所も変らず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。
朝に死に、夕に生るるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。
知らず、生れ死ぬる人、何方より来たりて、何方へか去る。
また知らず、仮の宿り、誰が為にか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。
その主と栖と、無常を争ふさま、いはばあさがほの露に異ならず。或は露落ちて花残れり。
残るといへども朝日に枯れぬ。或は花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども夕を待つ事なし。
(方丈記)
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