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さて、時刻は午後8時30分。
明日の撮影だというのに、先方からは、その後何のスケジュール連絡もなく、あやふやなまま、機材をトラックに積み込む相棒とビクター。
実は、彼らが帰ったあとに、ちょっとした事件があった。
彼らと入れ違いに、機材レンタルをしていた別の某ヨーロッパ人一行が、追加分を求めて、スタジオに現れたのだ。
先ほどのやり取りで、すっかり上機嫌な相棒は、プロデューサーなる男に、こう語る。
”いやぁ〜、全くなんて一日なんだ!今ね、ロシア人の一行が来てたんだ。観光客誘致のPRビデオを撮るんだって。これからは、ロシア人のツーリストがたくさんやってくるぞ〜。あっはっは!”
すると、それまで黙って話しを聞いていた男が、こう切り出したのだ。
”じゃ、支払いの時は、気をつけた方がいいね。僕の知り合いが、ここで旅行エージェントをしてるんだけど、ロシアから入って来るユーロは、偽札が多くて困り者だって、言ってたよ。”
”え〜っ!?!?!?!?”
そういえば、ここカンクンは、世界のリゾートと言われるだけあって、人種のルツボでもある。そして、ペソしか受け付けない店も結構多いのだ。
慣れるまでは、感じが悪いなぁくらいにしか思っていなかったけれど、そうか、外貨を受け付けないってのは、そういう意味だったんだ!
一瞬にして笑いが凍り付いた相棒は、彼らが去るや否や、私を伴って、隣町に車を飛ばした。
出掛けた先は、ごく庶民的な文房具屋。
「なんとかマーカーを探す」と言うので、蛍光ペンでも買うかと思いきや、彼が店員に聞いたのは、なんと偽造紙幣発見用ペンであった。
まさかこんな店で、そんなものが売ってるなんて!
その存在自体さえ知らなかった私はぶっ飛んだ。
ちなみに、このペンをお札に滑らせ、何も反応がなければ本物、黒く変われば偽札らしい。
本当にそんな安っぽいペンで、判別が出来るのかどうか定かではないが、それにしても、ヤワな日本人の私には、新たなるカルチャーショックであった。
だいたい一体、何人の日本人が、この、偽造紙幣発見ペンの存在を知っていることだろう?!
しかし、取りあえずブツは手に入れた。
あとは、彼らのスケジュールに合わせ、明日一番でお金を受け取り、慌てず、静粛に、それらを”チェック”するだけだ。
その後、夜半過ぎに連絡が来たあとは、翌日の修羅場に向けて、早々と床に入った。
(続く)
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仕事が忙しそうで良かった、良かったと思ってたら、
返信削除意外な方向に向かってきたね(汗)
なんか、映画みたいな展開だわー。
偽札に神経を尖らすなんて、中国に行った時以来だわ。
それにしても、その何とかマーカーってスゴイね~。
文房具やさんに売ってるの?
私も一本欲しいわぁー。
ここだったら、多分気軽に手に入るのだと思います。
返信削除ところで、最近のUSドルの下落ぶり・・驚きますね〜。
日本では絶対に換えられない・・
ドル77円台だよね~。
返信削除すごいよねー。
そもそもの原因はアメリカの債務問題。
期限切れの2日に、国債の発行上限を上げて
かたが付いたのかな?
これで、少しはドルも戻るんじゃない?
でも、日本もそうだけど、返済の確かな道もなく
国債を発行し続けるだけで、
借金が膨れ上がってるようにしか見えない。
さささん:
返信削除おぉ
そうだったのね。勉強になります。
でも、不景気のくせして円高な日本ってのも、なんだか〜よね。
我々には、優しくあって欲しいわ。とほ。