Lake Bacalar, Chetumal, Mexico |
日本に帰ってからというもの、怒られっぱなしでいる。
叔母に叱られた話はすでに書いたが、先日は、朝からバタバタしていて、朝ごはんを食べる間がなかった。
なので、最初の用事を済ませてから、次の用事に移る前に、スーパーでパンを買い、入り口のところの柵に腰掛けて、待ち合わせの人物を待ちながら、ムシャムシャとやっていた。
と、向こう側から自転車に乗ってやってきたおじさんが、私の目の前を通り過ぎながら、”美味しいか?!”と聞くので、”うん、美味しい!”と素直に答えると、”子供だったら、どやすところだがな。”と言い残して去って行った。
一瞬何のことだかわからなくて、次に、やっと彼の言いたい事がわかった。
「公共の場で、食べたり飲んだりするのは、みっともないことなんだ!」
これは、私には結構な衝撃であった。
なぜなら、私の住むメキシコでは、いつでも誰かが何かを食べていて、それが職務中の警察だったり、仕分けをしている郵便局員だったり、タコススタンドのビジネスマンだったりするからだ。
下手すりゃ、スーパーで買い物途中、レジで清算を済ませるのが待ちきれず、一旦カゴにいれた、パンやらスナック菓子やらをバリバリ開けて、食べ終わった袋だけを見せて清算するなんてことも、海外では決して珍しいことではない。
そういえば、お祭りの縁日は除いて、歩いたり立ったまま、ものを食べるのは、見栄えが宜しくないんだっけ?!あ、そういえば、買い食い禁止、なんてあったりしたっけな~?!
私は、自分の感覚が多少なりともずれている事を認識し、改めて背筋を伸ばしてみる。
さて翌日は、里帰り中の凄腕ヘアスタイリスト(ニューヨーカー)に髪を切ってもらい、気分も上々で自転車に跨り、家路への道を走っていた。
彼の実家の理髪店は、田んぼに囲まれたのどかな場所にあり、「けやき通り」と、都会風の名前が付けられた通りをはじめ、あたり一体は、午後の昼下がりでしんと静まり帰っている。
連日続いた雨も止んで、お日柄もよく、髪の毛もすっきりして、気分がいいなぁ!
とその時、前からゆっくりと向かってきた車から突然、声が発せられた。
「ちょっと、お姉さん。信号赤なんだけど。」
は?と思って顔を上げると、それはまぎれもないパトカーであった。
え~!でも、赤ったって、車はおろか、犬一匹いないじゃないの!
こんなところに信号付けるって方に、無理があるんじゃない~!?!?!
ついこの間は、別府というところに用事があって、女4人で車を飛ばした。
同年代の気さくな人ばかりということもあり、話は弾む一方。
笑いの絶えないまま、ドライバーのTさんは、高速を出て、と同時に前を走っていた車が急激にスピードを落としたので、瞬間的にその車を抜いた直後、歩道に座っていた2人が身を乗り出して立ち上がり、その50メートル先には、道の左右に数名の警察官が待機して、仁王立ちになり私たちを止めた。
やられた~!スピード違反で捕まってしまったぁ~!!!
災難とは全くこのことだ。
とりあえず、財布財布・・とばかりにバックを開けようとして、私は見た。
一人の若い警察官が目を、ものすごく三角に引きつらせ、我々に向かって何か発しているのを。
「はい、もう少し前に・・。あ、もう少し寄せて・・。あ、もう少しだけ後ろに・・・。はい、よし。」
な、な、なんだこりゃっ~!?
まるで、重大な凶悪事件犯にでもなったかのような緊迫感である。
仮にここで、車の窓から顔を出して、彼の手に1000円札を握らせ、
「お兄さん、悪いけどさぁ~、今日はお願いだから、これで勘弁してよ~!」とメキシコ流にやったとしよう。
間違いなく、私はその場で打ち首になっていたことであろう。
というか、緊迫した雰囲気の中、そんなことを切り出せる人がいたら、私は、是非そんな勇敢な人に会ってみたい。
そういう訳で、取調べは、その後約15分に掛けて行われ、その場にいた他5名の間にも、同様に緊迫したムードが漂っていた。
当然、待っていた私達の間にも、連鎖的に、ドヨ~ンとした空気が浸透していった。
言い訳になるが、私は、一部の職業に就いている人をここで非難している訳ではない。
国際免許証について聞きに行った先のお巡りさんは、と~っても親切に、本部に問い合わせの上、逐一教えてくれたし、私が今回ハプニングで乗りそこないそうになった日系航空会社のスチュワーデスさんも、地上係員のお姉さんも、先日途中解約してしまったインターネット会社のサービスセンターのお兄さんも、皆、こちらが恐縮してしまうほどに親切であった。
それと同時に、例えばお店などで、愛想良くしている店員さんに、手のひらの上に乗せてお金を渡しているのにも拘わらず、硬貨を入れるトレーが、代わりにすーっと出てきて、淋しく感じることもあった。
そして思った。
もしかして、みんなあまりにも真面目になりすぎて、なんだか余裕ない感じ?!?!
**
先日、子供英会話を教える時に、何を教えられるかなぁって考えていて、Have a nice dayっていい言葉だな、って思い付いた。
子供って言ったって、ハローとかグッバイくらいは知っているだろうし、でも、Have a nice dayだったら、言う方も言われた方にも笑顔が浮かぶ。
私は説明を考えた。
「皆さん、英語を話す国の人たちに取って、毎日を楽しく過ごしているかは、とっても大事なことです。なので、朝出掛ける前に、お父さんやお母さんは、子供に、楽しい一日をね!と言って送り出すし、子供たちも、同じように返します。良いですね~!」
そして、ふと我に帰る。
日本人が、一番大切にしていることってなんだろう??
次の瞬間、私の頭の中に浮かんできた事は、次の一文字だった。
「決まりを守る。」
ガ~ン!!!
悲しいけど、これが現状かもしれない。
先生の言いつけを守る。
前へならう。
遅刻をしない。
歩きながら物を食べない。
赤信号は止まる。
マンションの廊下は走らない。
代金は、お客さんから直に受け取らない。
仕事は、言われた通りに。
うぎゃ~っ!!!!
**
かくいう私も、ついこの間までは、こういう人間でした。
けれど、そういう価値観が、別の場所に移動すれば、何の効力も持たないと知って以来、どっかに吹き飛んでしまったのも事実です。
あ、もちろん、規則を守る=回りに気を使うっていうのは、日本人の美徳だとも思います。
地震の時の冷静さとか、分別ある行動は、日本の外から見たら、驚き以外の何者でもなかったので、それは大きな報道となり、また他民族へのお手本にもなった。
でもその一方で、それが裏目に出てしまえば、国単位で、融通が利かない、かちかちの真面目一本やりになって、なんだか息苦しい社会になってしまうんだろうな~。
もっと肩の力を抜いて。
もっと我がままでもいいのよ。
もう十分出来てるんだから。
日本に、同じ数だけの外国移民が来たら、相当面白いだろうなぁといつも思う。
皆どれだけ優秀で、どれだけ優れた民族であるか再認識して、なーんだって笑っちゃうよ、きっと。
そして、そんなこと想像するだけの余裕、欲しいよね!
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どこの国でも、どの人でも、いいところと悪いところは表裏一体ですよね。
返信削除最近、増えてきましたよー。会計済ませていないのに、あけて食べちゃう大人とか、子供とか。
電車の中とか、コンビニの前とかも当たり前ですし。
おじちゃん世代の方は、そういうのってお行儀悪いって思う方がまだ多いのかも。
ただ、電車の中で551の豚まんをあけて食べるのはやめてほしいですwww匂いが充満するから。
色んな国の、人の、世代の、色んな面を頑なに否定するのではなくて、柔軟に受け入れていきたいなぁーと思います。
だって、世間は狭いが、世界は広い。
そして、郷にいっては、郷に従え。ですものね。
買い食い、そういえば私も子供の時によく怒られました。笑
返信削除見渡す限り車が全く来ない場所での赤信号など、本当に無意味ですよね〜。信号無視で怒られるのは、信号無視して誰かの身に危険を及ぼした場合だけでいいと思うんですけどね。例えば、歩行者が赤信号無視して道を渡ったせいで、車が急ブレーキをかけてよけたとか、そういう場合。
アンリさん:
返信削除そうそう!怒られても、”は?なんで怒られるの??”って思ってしまうあたりが、もう終わってますよね~。ま、それでも同じことまたやるんでしょうけれど。
ピョンさん:
返信削除豚まんはや~ね~(笑)
そうか、自分が逆の立場に立てば、なんとなくおっちゃんの言った気持ちがわかるかも。
まぁ日本人には日本人の美徳があり、外国人には外国人のカジュアルさがあり。
使い分けねん。:)
お久しぶりです。
返信削除もう49日も終わったのでしょうね。
久しぶりにゆっくりと故郷に滞在し、
改めて発見したことや、
「そうそうこうだった」と、
日本で常識とか規範とされる行動なんかを
思い出しながら、
毎日の生活を楽しんでることでしょうね。
KYOKOちゃんの友人の一人として、
今後、どのような人生を貴女が選ぼうと、
色んな出来事を楽しみながら、
自分のために自分の人生を
生きて欲しいと願ってます。
どこに住もうとネ・・・。
お互いしっかりと自分の人生を生きましょう!
さささん:
返信削除49日、明日です!
いや~、しかしこの1か月、ゆっくり骨休みさせて頂きました。
丁度良いタイミングに日本に帰って来られて本当によかったと思ってます。
色々なうれしい出会いもありました。:)